介護ストレス事例
口から栄養を補給させては、下から排泄物を出すだけの器官
長年連れ添っている妻に最初の異変が訪れたのは頭痛からでしたが、それが脳に出来た悪性の腫瘍であると告げられ、検査の結果手術で腫瘍を取り除かなければ命に関わると宣告を受け、生存率の低い手術に臨みました。幸い一命は取り留めたものの、四肢麻痺と記憶喪失に陥り、誰に介護されているかも分からない状態です。
以降、身体はいうなれば、口から栄養を補給させては、下から排泄物を出すだけの器官に過ぎなくなってしまいました。当然、部屋の汚れ方もひどくなります。しかし、体重が100キロに及ぶ妻を頻繁に、お風呂に入れることは容易ではありません。
トイレに運ぶことも出来ません。部屋がトイレのような匂いに包まれています。脱臭剤をまくと、マンションの廊下にまで匂いが漂い、隣の住人さんから鼻をつままれる有様です。
手術後はもはや別人であり、当人が誰に介護されているかが分からないのと同様、時に私自身誰を介護しているのか分からなくなることがあります。介護をしていて一番つらい時です。
男性/東京都